【マインドフルネス講座 第1回】瞑想とは?マインドフルネスとは?何が変わるのか?その効果は?

📝この記事について

瞑想やマインドフルネスは心身の健康の向上にいい方法だと広く広まっていますが、それらはどんなものであって、どんな効果があるのかきちんと理解している人は多くないかもしれません。今回は私がこれまで学んできた知識や経験を元に、瞑想とマインドフルネスについて解説します。
ココイマより

4回にわたり、瞑想のやり方やマインドフルネスについて説明するマインドフルネス講座では、瞑想初心者に知っていてほしいことをまとめました。 誘導瞑想を始める前や、講座の受講前の基礎知識としてご活用ください。

瞑想とマインドフルネスの関係

科学的な研究も多く行われるようになり、「瞑想」という言葉はセルフケアやウェルビーイングを高めるための方法の一つとして色々なところで聞くようになりました。

 

しかし、一言に「瞑想」と言っても実に色々な種類の瞑想があります。
多くは集中瞑想と呼ばれるもので、何かに集中することで心の安定を図ります。例えば炎を見たり、呼吸に集中したり、音に集中したり、唱える言葉に集中したりします。


集中瞑想と引き合いに出してよく説明されるのが「観察瞑想」です。観察瞑想は心を観察する瞑想で、昨今ポピュラーなマインドフルネス瞑想は観察瞑想を主軸に、集中瞑想と観察瞑想を合わせた瞑想です。


また、姿勢によって歩く瞑想、立つ瞑想、座る瞑想などという種類の分け方もあります。


その他にもヴィジュアライぜーション瞑想やリフレクション瞑想などテクニックを取り入れた瞑想もありますし、宗教によっても色々な種類の瞑想が存在していて数えられないくらいの瞑想があります。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスの定義

マインドフルネスには色々な定義がありますが、

「今起きていることに起きている時に評価価値判断なくあるがままに気付くこと、またその心の状態」

と私は説明します。


マインドフルネスを練習することによって何が起こるかというと、私達が無意識で気付かない今起きていることに気付くことができるようになることで反応的に生きている状態から抜け出すこと、そして評価価値判断に気付くことで自分が持っているバイアスや固定概念を外し物事の本質を見るようになること、また「今ここ」に注意を向けることによって心が穏やかになり客観的に心を観察する土台ができるようになります。


こうしてマインドフルな状態を意識して練習し培っていくことによって、反応的な生き方からより賢い物事の見方が身について自分の人生にあるあらゆる体験との関係性が変化していきます。

マインドフルネスの歴史と現在

マインドフルネスは八正道という仏教の修行の8項目の中の一つである「正念(サティ)」(物事の本質をあるがままに捉え、常に真理を見るようにすること)を20世紀にT. W. Rhys Davidsという学者が名付けたのが始まりだそうです。伝統的な仏教の修行の一部ということです。


そして仏陀が悟るために開発した「気付き(サティ)」を育てる瞑想がヴィッパサナー瞑想で、これはマインドフルネスの元になっているものです。文脈によっては同一のものとして語られています。


従って、マインドフルネス瞑想は平たくいうと悟るための瞑想です。「悟る」なんて聞くとすごく敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、私達一般の人でも、「少しでもやれば心が改善されて悩みにくくなるもの」と考えてやってみると生活に違いが生まれてきます。


マインドフルネスについては、1970年代に現マサチューセッツ医学大学院の教授であるジョン・カバット・ジンが、インサイト瞑想センターでの体験とヨーガの体験を元に、同大学で慢性痛の患者のために開発したMBSR(日本語では「マインドフルネスストレス低減法」)が初めて仏教の伝統的な修行を宗教色を除いた形で科学の立場から体系化し、その効果に関する研究が盛んに行われるようになり、「マインドフルネス」という言葉が一般にも広まっていったという経緯もあります。博士の開発したMBSRは有名です。


マインドフルネスや瞑想は1990年代後半にMRIの研究ができるようになってから科学的な研究も多く行われるようになりました。今はマインドフルネスと一緒に練習される「慈悲の瞑想」の研究も進み、共感に関する脳の灰白質が増大し、喜びや感謝、愛、人生への満足感などの肯定的な感情が増えるという研究結果もあります。


また、ここ10年くらいの研究で「脳は何歳になっても経験によって変化し続ける」という神経可塑性に関する研究が明らかにされ、マインドフルネスと紐付けて説明されるところも色々なところで見るようになりました。


私たちの脳は私たちの周りに起こる様々な力によって常に変化していて、どんな力を与える(内側からも外側からも)かによって脳が変わっていくのですが、私たちは47%が無意識で今ここに起きている事に気づかずにいます。マインドフルネスでは今ここに起きている事に気付く力を育てるように練習をし、起きていることに対して賢く対応するように心をトレーニングしますが、それによって脳に影響する要素をある程度コントロールできるようになると考えられ、従って脳の変化をある程度コントロールできるようになると考えられています。

マインドフルネスはなぜ心の苦しみを減らすのに役立つのか?

マインドフルネスでは自分の心を科学者のように客観的に観察し、心の苦しみの原因を理解します。心が苦しむには理由があり、「その原因を理解することで悩みや苦しみが和らぐ」、あるいは「苦しみの原因が理解できれば、合理的本質的に考えて賢く対応できるようになる」という考えです。

 

その反対で言うと、私達は普段自分の心があまりにも見えていなくて、心の反応の連鎖に巻き込まれています。感情や思考にされるがままに巻き込まれて過ごしていることが多く、そうなっていることにも気づいていません。


そういう状態から、心で起きている事にはっきりと気付き、客観的に、自分の感情や思考に巻き込まれずに賢く物事を見る練習がマインドフルネスです。そうする事によって次第に心は落ち着いてきて、条件づけられていた悩みのパターンから抜け出すことができます。

マインドフルネスで育てる「気づき」の力

気付きは思考や感情よりも大きく広い物です。気付きと精神的活動の関係は広大な空と雲のようなもので、気付きがある時、私達は思考を思考として、感情を感情として認識できます。

 

ですが私達はしばしば思考や感情に囚われて思考の雲や感情の雲が頭にかぶさっている様に思考や感情で周りが見えなくなります。この状態はマインドフルではありません。

 

特に思考は私達の心をハイジャックし、思考を現実だと信じて操作される傾向があります。このハイジャックされた心には何が起きているかというと「思考(あるいは感情・気分・体の感覚)=真実」になっているということです。

思考というのは私達の心の活動の一部であって、それは私達自身でもなければ真実というわけでもありません。ですが思考を過度に信じてしまった時、その思考と鎖で結ばれ自由のない逃げられない状況になってしまうのです。

 

 

マインドフルネスでの思考や感情などとの関係は、距離があって影響されない場所にいて観察できることです。

 

「気付き」がある時というのは、その気付きの対象自体を対象化することがすでにできているという事です。例えば「怒っている」と気付けば、すでに怒りの外側にいて、客観的に外から眺めることができます。するとそれに影響されることもなくなっていきます。気付きの力というのはとても便利なものなのです。

 

マインドフルネスのもう一つの重要な要素はそのような心に生じる精神的現象(思考・感情・気分・体の感覚)に対して、一歩下がって頭にかかった雲を擦り抜けて、より大きな広い視点で観察できる囚われのない心です。鎖に結ばれていない自由な状態です。

 

これは思考や感情などを「精神的な活動の一部に過ぎない」という認識を持つ事によって得られます。

普段あなたは自分の思考をどれくらい信じているでしょうか?

この質問をされるまで「そんな事考えてもみなかった」と感じる人も多くはないと思います。

海の中にいる魚にとっての水であるように、私たちにとっての思考は当たり前に近くにありすぎて認識することができないのです。

 

「思考を客観的に観察できる」ということを知ることは革命的なことでもあります。この思考(やその他の精神的活動)との新しい関係性を身につけることがマインドフルネスです。

 

心が健康な状態

仏陀はこのようにマインドフルである心の状態が最も健康な心の状態だと説きました。2600年以上も前に編み出されたマインドフルネスが現代でも引き継がれていて、特にここ数十年では科学の世界でも研究が進みメンタルヘルスやコーチングの場面でも応用されている理由はここにあります

 

ここまでで何となくマインドフルネスについてわかってきたでしょうか?

次のページではマインドフルネスのやり方を学んでいきます。

 

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