【マインドフルネス講座 第3回】マインドフルネス瞑想のやり方 実践②

📝この記事について

 前回はマインドフルネスのやり方の説明をし、実際に誘導瞑想を使って瞑想をしてもらいました。今回は実践中のよくある疑問点や困った時の対処法を紹介しながら、マインドフルネスについてもう少し詳しく説明します。
ココイマより

4回にわたり、瞑想のやり方やマインドフルネスについて説明するマインドフルネス講座では、瞑想初心者に知っていてほしいことをまとめました。 誘導瞑想を始める前や、講座の受講前の基礎知識としてご活用ください。

 前回はマインドフルネスのやり方の説明をし、実際に誘導瞑想を使って瞑想をしてもらいました。今回は実践中のよくある疑問点や困った時の対処法を紹介しながら、マインドフルネスについてもう少し詳しく説明します。

瞑想中の困りごと:こんな時はどうするの?

 前回の瞑想はどうだったでしょうか?どんな変化を感じたでしょうか?

ここからは実践中のよくある疑問点や困った時の対処法を紹介します。

呼吸になかなか集中できない

瞑想を始めたばかりの人で一番よくあるのはこの悩みだと思います。

 

「瞑想中呼吸に集中できない」

「呼吸からすぐに離れて思考の中に飲み込まれてしまう」

この思いから、

「瞑想が上手くいっていないのではないか」

「瞑想は自分には合っていない」

と感じる人も少なくないと思います。

 

ですが、呼吸から心が離れるのは心の性質であってとても自然な事です。寧ろ、呼吸から心が離れた事に気付いている瞬間はマインドフルであり、気付きの力が育つ大事な瞬間です。

 

集中力というのは確かにマインドフルネスを深めるためにとても重要なポイントではありますが、マインドフルネスの文脈で言うと、呼吸に集中しないで呼吸から離れた時に「呼吸に戻る」という練習ができるので、それは問題ではありません。 

 

そして、集中力は瞑想の実践を続けていくことで徐々に身についていきます。焦らずに「今ここ」では心が何をしているのか?と「気付く」練習を積み上げてください。

 

■呼吸の役割と気づきの力

呼吸とマインドフルネス力の関係はダンベルと筋肉の関係に似ています。

ダンベルを持ち上げ続ける力(集中力)も大事ですが、一度下ろして再度持ち上げること(気づきの力)がより大事なのです。一度下げる(呼吸から離れる)というプロセスがないとダンベルを持ち上げる(今ここに気づく)ことが出来ないので、呼吸から注意が離れることも練習の一つのプロセスだと思ってください。

また、やっていてわかるように心が彷徨うのは心の性質であって、コントロールできるものではありません。何年瞑想していても心は彷徨います。

ですからここは少しリラックスして、呼吸から離れた事に過敏になったりせずにただ離れたらそっと呼吸に戻るというプロセスを繰り返してください。

 

 

■集中力をつけたいときは呼吸を数える

とはいへ、呼吸からあまりにも離れて思考に囚われてばかりになってしまう時には、心の観察ができなくなりますので、少し集中することも大切です。そんな時には呼吸をカウントするテクニックを使います。

 

 

■呼吸をカウントする方法

・吸う息と吐く息で「いーちー」、「にーいー」と数える

・5まで数えたらまた1から始める

 

呼吸をカウントする方法はいくつもありますが、代表的なものとしては、吸う息と吐く息で「いーち」とゆっくり数え、5まで数えたらまた1から始めます。この時呼吸はコントロールせず自然な呼吸にカウントを合わせる様にしてください。もしこのカウントの中でも心が彷徨ってカウントがわからなくなったら1から数え直してください。

集中してくると呼吸が微細になり感覚に敏感にならないとわからないほど呼吸が小さくなります。そしたら呼吸を数えるのをやめ、呼吸の感覚に戻ってください。

(補足)呼吸に集中することで何をするのか:呼吸が重要なわけではない

呼吸と集中力についての補足です。よく瞑想において呼吸をすることが大事だと勘違いする方がいらっしゃいますが、呼吸自体が重要なわけではありません。ここで呼吸に集中する理由を説明します。

 

呼吸に集中しようとするのは風が吹いている中に木を置くようなものです。どれだけ強い風が吹いていて嵐が来ようと台風が来ようと、外がコンクリートのものしかなければ風の動きは分かりません。ですが葉っぱや枝のように、しなやかに風で靡いたり動くものがあればどんな風なのか分かります。今日は少ししか風が吹いていないのか、強い風なのか、どちらから吹いているのか、どんなリズムで吹いているのか風のことがわかるのです。

 

それと同じで呼吸に集中しようとすることで私達は心の動きが見える様になります。集中出来ないこと、心を引くものは何なのか、どれくらい強く引っ張られているのか、自分はその引っ張られるものに対してどのように対応しているのか、それは呼吸に集中しようとするからこそ見やすくなるのです。

 

このように呼吸に集中しようとする事によって、呼吸でないもの(呼吸以外の心の動き)に気付く事によって自分の心の中がよくわかってきます。

マインドフルネスをはじめ、自分の心に気付いていくと自分が思っていた自分との違いに驚く人も多いです。そうして本当の自分にマインドフルに親しくなっていく事によって自分との関係性が改善し、自分の心と賢く関われるようになり、自分への思いやり(セルフ・コンパッション)が高まります。

瞑想中に体が痛くなる/痒くなる

 瞑想中に座っていて、体の痛みや痒みが出て「座っていられない」と思うことがあります。そんな時はどうするかというと、反応するのは少し脇に置いて、一度その感覚をマインドフルにどんな感覚なのかを観察してみてください。

 

この時「痛い、痛い」「痒い、痒い」という概念的な痛みではなく直接的な生の感覚を感じます。「あるがままの現実」の痛み/痒みです。その感覚にオープンになって快く迎え入れるように観察します。

「痛みを感じようとさせるなんてひどいじゃないか」「痛みを快く受け入れるなんて出来ない」と思う人もいるかもしれませんが、これが実は痛みに対する「抵抗」を減らし、実際の苦しみを減らすのです。

 

確かに痛み/痒みというのは存在するのですが、私たちはしばしばその一次的な感覚にストーリーを被せて痛み/痒みを大きくしたりしています。そして感覚に概念を加えるだけではなく抵抗する事によって苦しみが大きくなっているのです。

 

これはやってみたらわかるので、座っていて痛みが出てきたら少し観察してみるというのをやってみてください。

少し観察してみたら体の感覚を観察しながら痛くないように姿勢を変えてください。

 

眠くなってくる

 瞑想をしていると眠くなってくることもあります。これは注意を呼吸に向けているのでフォーカスの対象が狭まり刺激が少なくなるから起きるという側面があります。

ですがマインドフルネス瞑想でははっきりと気付くことが目的なので眠気は禁物です。

眠気に対してできることは、まず①疲れている場合には睡眠を優先する②眠くならない環境や姿勢をとる、③好奇心を持って起きていることに気付く、という3点の対処法があります。

 

■眠気への対処法

 

①睡眠を優先する

いうまでもなく疲れていたら睡眠を優先し瞑想は後にしてください。

②姿勢や環境を整える

・部屋を明るくする

・姿勢を立ち姿勢にする、背筋を伸ばす

・目を開けて瞑想する

などで対応できます。

③好奇心を持って起きている事に気付く

「眠気=退屈さ」が出てしまっているので気を取り直して好奇心をもう一度思い出して瞑想します。眠気を観察し、眠気とはどんな感覚があるのかどんなリズムがあるのかとよく調べます。気づきを持って対応するのです。

 

マインドフルになるコツは?

全ては気付きの対象になる

 ここまで色々な困りごとについて説明してきましたが、全て起きていることは気付きの対象になります。

眠気も痛みも、集中できない心も、心を逸らす音も「今ここに起きていること」として観察の対象にします。そうすればマインドフルネスは成立しているんですね。

その意味でマインドフルネスには気づきがあるかないかだけですし、気づいていない時がないと気付くことはできないので失敗したマインドフルネスというのはありません。

気付くというのは結構エネルギーが要りますが、「全ては観察対象に」という意味では少し気楽にできるのではないでしょうか。

結果に期待しないで土台を作る事に集中する

 もう一つお伝えしたいのは結果に期待しないことです。「静寂な心になるはずだ」とか「穏やかな心になろう」と思うとそこに執着が生まれて上手くいきません。

これは観察しているとすぐにわかると思います。

 

私達がするのは気付きを続けていく土台を作ることです。どのような心持ちで座るかということだけに集中し、一瞬一瞬「気付く、気付く、気付く」と意識するようにやってみてください。

興味を持って自分の心を観察する

最後に、興味を持って自分の心を観察してみてほしいなと思います。

心の観察をするのは実際に結構面白いものです。何かに気づいたと思ったら、判断して、何かの反応を起こして、何度も同じような思考を繰り返していたり、あれやこれやと考えてこんがらがった思考をしていたり、思考の種類によって感情が変わったり、感情に合わせて体の感覚が変わったり…

自分が思っていた自分とは違った自分の心が見えてきます。

それに対して判断せずに、面白がって観察しようと続けてみると、瞑想はとっても楽しいものだと感じると思います。


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